春色スタッカート
新青森駅のコンコースには、すでに多くの生徒が集まっていた。 私の中学校は2クラスしか無いので、全員でも60人ほどの少人数だ。新幹線ならほぼ1両で乗り切れてしまうらしい。 ギリギリまで寝ていたかった私は、集合時間直前の電車に乗って新青森まで向…
修学旅行を翌日に控えた私は、自分の部屋で荷物の準備をしていた。 しおりを読み返していると、班行動の行き先のページに目が止まった。「……お笑いのライブか」 いったいどんなライブなんだろう?お笑いなどほとんど興味が無かったのに、少しワクワクしてい…
その日の放課後、私は日直の仕事を終えたことを先生に報告してから教室に戻った。 静まり返った教室。生徒はみな部活に行ったり帰宅したりと、一人も残っていなかった。 ところが教室の中をよく見てみると、一人だけ、私の席の近くの男子が机に突っ伏して寝…
何から話したらいいかな…… ……やっぱり六年前のあの日から始めるのがいいかも。 それじゃ巻き戻すよ。春色に輝いていたあの日へ―― ――窓際のいちばん後ろの席に座っていたりしたら、まだ物語の主人公に見えたのかもしれない。 でも私の席は、廊下側の真ん中。 …