ひだまりラリアットLOVE

ひだまりラリアットを応援し続けるブログです。

アイドルは本当は強いんです! ~ひだまりラリアット プロレスはじめました~【第1話】その1

【第1話】その1

「今日からプロレスやってもらいます。」
 普段の業務連絡と変わらない表情でマネージャーが告げた。
 ミーティングと聞いて会議室に集まっていた「ひだまりラリアット」のメンバーたちは、目を丸くして、口をぽかーんと開けたまま呆然としていた。
 ハッと我に返ったリーダーの歩千春が、真っ先に声を挙げた。
「ちょっと!私たちアイドルですよ!プロレスラーじゃありません!」
「なんでプロレス?」「意味わかんない」
 他のメンバーたちもようやく声を発したが、動揺を隠しきれないでいる。
 そんなメンバーをよそにマネージャーは淡々と続けた。
「もう決まったことです。スケジュールも組んであります。」
「で、でも、プロレスやったことないし、練習だってしないと…」
 最年長28歳の小林咲彩が、当然とも言える反論をした。しかしその反論さえも無視された。
「それでは1週間後に、後楽園ホールに集合です。では」
 マネージャーはそれだけ言うと、会議室から出ていった。
「……」
 あまりの驚きに誰も口を開こうとしない。
 ――長いようで短い沈黙の時が流れた。
 すると、それまで一言も発しなかった南海ナルが、突然お気楽な感じで喋り始めた。
「だったらさ、勝ったらリングの上で歌わせてもらえるってことにしたら、いいんじゃない?なんか面白そうだし。」
 一瞬の沈黙。そして――
「もう!ナルちゃんはいつもテキトーだなぁ」
 ナルの発言に、リーダーの歩千春は、少しだけ肩の力が抜けたようだった。
「わかった。それで話つけてみようか。みんなもいい?」
「…はい」
 メンバーたちは困惑しながらも、何か楽しいことが起こりそうな予感に、期待に満ちた表情を見せていた。

――つづく