ひだまりラリアットLOVE

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アイドルは本当は強いんです! ~ひだまりラリアット プロレスはじめました~【第1話】その2

【第1話】その2

 1週間はあっという間に過ぎた。
 午後3時、後楽園ホールの関係者入口に、一人の女性が立っていた。
 細めのスーツを着て、姿勢良く立っている女性。
 ――ひだまりラリアットのマネージャーだった。
 そこへ長い黒髪を揺らして、一人の女性が姿を見せた。
「本当にやるんですね…」
 ひだまりラリアットの“清楚キャラ”こと、佐々木のりこ。
「佐々木さん、指定した時間は過ぎていますが」
 強めの口調でマネージャーが指摘すると、その口調の強さに、佐々木のりこは戸惑ったような表情を浮かべた。
「この話、みんな冗談だと思ってますよ」
「冗談ではありません。現にあなたは来てるじゃないですか」
「私は総武線なので、船橋からは一本なんです。だから遊びついでに様子だけ見ようと思って…」
「『遊びついで』ですか」
 鋭い視線がマネージャーから送られた。
 それ以上何も言えなくなった佐々木のりこは、どうしたらいいかわからず、その場で立ち尽くしていた。
 ――沈黙が続く2人。
 そこへ、海外セレブのような大きなサングラスをかけた、小柄な女の子がやってきた。
「へぇ、本当にやるんだ」
「あなたも同じセリフを言うんですね」
「そっか。のりちゃんとセリフがかぶるなんて、オリジナリティが欠けてるなぁ」
 そう言って、優雅にサングラスを外した彼女は、ひだまりラリアットのエース・綾瀬陽菜。
「勝ったら歌わせてもらえるんだよね」
「ええ。私は約束を守ります」
 綾瀬陽菜はニコリと笑った。
「なら絶対に、私は勝つ」
 ――その微笑みは、身震いするほど美しかった。

――つづく